死人に耳あり

今年古希を迎えたFさんが20代の頃の事だというから、およそ半世紀も前の話である。

 

当時Fさんは神社のすぐ傍の家に住んでいた。

常駐の神主さんもいないような小さな神社だったので、掃除や草むしりなど日々の雑用はFさん一家が引き受けていたそうだ。

 

ある日、朝の散歩がてら神社へ行ったFさんのお祖父さんは首吊り死体を見つけた。

通報してすぐに来てくれた警察は死体を降ろし回収して行ったのだが、当然ながら後処理まではしてくれない。それはFさんに押し付けられた。

 

「何で私がこんなことせないけんのかね。こんなとこで死なれていい迷惑やわ」

 

地面に落ちた汚物を水で流しながらそう溢す。

次の瞬間、ドサッと地面に座り込んでしまった。

驚いたFさんはそれでも立ち上がろうと後ろに付いた手で地面を押す。が、それでも立てない。

どういうわけか腰から下に力が入らない。

それからしばらくFさんの下半身は麻痺したように感覚がなかったそうだ。

原因は首吊り死体への愚痴だと本人は考えている。

「こっちは見つけちゃって警察も呼んじゃったちいうのに、はがいい(歯痒い)っちゃんね」

 

首吊り事件以降、近所で外飼いの犬がいなくなり、数日後に何故か神社で見つかるということが相次いだという。

 

Price: ¥ 1,674

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA