移霊

大学の学生寮に住むSさんは、霊を郵送したことがあるという。

 

「ある時期から部屋の前の廊下が臭くなったんですよ」

 

Sさんの部屋は3階にあるのだが、3階の廊下だけ甘ったるい腐敗臭がしていた。例えるなら「バナナの皮を数週間放置したような臭い」だそうだ。

寮生たちは念入りに掃除をしたり芳香剤を置いてみたりしたが、一向に臭いは消えない。

そのうちに、臭いはSさんの部屋の中へと移った。

悪臭の原因を突き止めようと、Sさんはルームメイトと共に部屋の隅々まで調べてみたが、臭いが出るような物は何も見つからなかった。

しばらくすると、部屋全体に漂っていた臭いは1ヶ所に留まるようになった。

それが、Sさんのスーツケースだった。

「半年に一回、里帰りの時にしか使わないのでほとんど何も入ってなかったと思うんですけど」

中身を確かめようとダイヤル式のロックを開けようとしたのだが、何故か開けられない。

Sさんは番号を変えた覚えはないし、もちろんルームメイトも勝手に触るわけがない。

色々な番号を組み合わせて虱潰しに試してみたけれど、結局スーツケースは開けられなかった。途方に暮れたSさんが父親に連絡したところ、知り合いに開錠の専門家がいるという。Sさんは次の日早速、スーツケースを実家へと送った。

部屋の異臭も、その日を境に消えた。

開けてもらったスーツケースの中には綺麗にアイロンがけされたシャツが4枚入っていた。臭いを放つ物は何もなかったそうだ。

 

 

生ごみ臭は低級霊、花の香りは守護霊だというのをどこかで聞いたことがあります。

 

 

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