弔い

今から五年ほど前、Yさんのお婆さんが亡くなった。

 

葬儀が始まると、僧侶はYさん一家を呼び寄せ、輪になって棺を囲むように告げた。

黙って指示に従う大人達。葬儀に参列するのが初めてだったYさんも皆に倣った。

すると、僧侶が持って来たカバンの中から生きた鶏を取り出し、その場で首を切り落とした。

切り落とされた鶏の生首は棺の上に突き立てるように置かれた。

そして、僧侶はぶつぶつと念仏のようなものを唱え始めた。その途端、床に捨て置かれていた鶏の胴体がむくりと立ち上がり棺の周りを走り始めた。

 

首がないその鶏は、棺を囲むYさん達の足を器用に避けながら一時間程ぐるぐると走り続けると、突然足から崩れ落ちピクリとも動かなくなった。

大人達は慣れた様子だったが、幼いYさんにとっては恐怖の一時間だったそうで、今でもふとした瞬間に鶏の足が地面を蹴る音を思い出すのだという。

 

 

道教

Yさんの出身地、湖北省で5年程前まで行われていた道教の葬儀の話である。道教は中国南部を中心に広まったため、このような葬儀は北部では見られないようだ。

また、死体に術をかけて動かす職業「赶尸人(あるいは赶尸匠)」も南部特有のものだそうだ。

南部には他にも数多くの奇習があるが、その中の大半は道教が影響しているのだという。

 

 

4 thoughts on “弔い

  1. こちらの話ですが、何かしら胸に引っ掛かる部分が…。
    なんだろう?

    1. だいぶ前の話ですが、イギリスかどこかの農場の鶏の首を刎ねたところ、胴体が起き上がってしばらく生き続けたっていうニュースありましたよね?

  2. 首を切った鶏が走り回るのは聞いた事がありますね(^-^)
    たしか、日本兵の捕虜を助けるために隊長が「部下たちの間を、切られた首をもって走るから、走りきった人数分の部下を助けてくれ」と懇願して、全員を助けた。と言う話もありますね。

    イギリスのはたしか、切られても数日間生きてたんですっけ?

    うーん。なんだろう。思いを伝えるって難しいですね(笑)

    1. 鶏は結構長く生きていたと記憶してるんですが…
      どうだったかな。切った首のところからエサを入れてたんですよね。

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