死者との再会

今から数年前、Sさんは従姉の葬儀に参列した。

葬儀から三日後にとある儀式を行った。それは紙で作った馬を燃やすこと。Sさんの故郷の風習である。死者が無事にあの世へ旅立てるようにとの願いを込めて行われるのだそうだ。

親族だけで広い公園に集まって、紙の馬に火をつける。火にゆっくりと覆われた馬はあっという間に黒い煤へと変わった。

最後まで見届け、公園を去る時。

Sさんは何となく振り返って馬を燃やした場所に目をやった。誰かがいるような気がしたのだ。しかしそこには誰も、何もなかった。風に散らされたのだろうか、馬の燃え滓すら残っていなかった。

その日の夜、ベッドに入り微睡んでいたSさんは窓をコツコツと叩く音で起こされた。

横になったまま目線だけを窓に向ける。

そこには窓を叩く従姉の姿があった。

骨の出た手でコツコツと叩いている。その手を見て、Sさんは改めて「あぁ、死んだんだな」と思ったそうだ。

Sさんが起き上がった時にはもう、彼女は消えていたという。

「すごく悲しそうな顔でした。私が振り返ったりしたから」

 

そう、Sさんは禁忌を犯していたのだ。

 

 

三日目の儀式

死者が亡くなってから三日目に、紙で作った馬を燃やす。燃やした後は決して振り返らずに家に帰らなければならない(この他に「家に帰ったらその日は一日家から出てはいけない」というルールもあるそうだ)。

もし振り返ると死者が現れる。所謂「成仏できない」状態なのだという。もしかするとSさんの従姉は今もこの世に留まっているのかもしれない。

中国の東北地方での話である。

 

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