Lさんが大学の冬休みにふるさとへ帰った時のこと。

故郷の駅でバスを降り歩いて家に帰る途中、妙な人物を見た。

ボロ布のような服を着て、虚ろな表情でどこへ行くともなくふらふらと道をうろついている。骨に皮を巻いただけのような貧相な体つき。顔の下半分に生えた髭でかろうじて男性だと判断できたが、服からのぞく手首や足首は女性であるLさんよりもはるかに華奢だった。

 

家に帰り着き、家族に男性のことを聞いてみた。

すると「あぁ、犬のこと」と、彼がLさんの故郷に来たいきさつを教えてくれた。

話によると、彼はまだ乳幼児だった頃に誘拐され、とある夫婦に売られたというのだ。その後しばらく夫婦の元で育てられていたのだが、彼が小学生の頃に認知面での障害があることが分かった。夫婦は怒り失望し、そして徐々に関心をなくし、ついには彼を捨てた。

捨てられた彼は誰に保護されることもなく浮浪者になり、各地を転々とし、そしてLさんの故郷に流れ着いたということらしい。

彼の食糧は生ごみか、気まぐれに誰かが恵んでくれる食べ物なのだという。だから犬と呼ばれてるんだ、そう家族は教えてくれた。

 

「私は犬の方がまだマシだと思いますけどね」

”犬”は今もLさんの故郷にいるそうだ。

 

人間の値段

上の話は所謂「赤ちゃん売買」である。この他には近隣諸国(特に貧しい地域)の若い女性を買って結婚する「嫁売買」などの話もある。

Lさんの故郷にいる男性は知的障害が理由で家を出されたようだが、障害のある子供に物乞いをさせて金銭を得る親もいる。その際に「軽度の障害では誰も同情しない」という勝手な理由で子供の身体を故意に傷つけ重度障害を負わせる非道な親もいるそうだ。

 

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