海底より

2002年、台湾のとあるインターネットサイトに気味の悪い音声がアップロードされた。

その音声はゴボゴボという水の音から始まる。そして、

「どうして?なんで?嫌だ、死にたくない、こんなところで死にたくない……」

という男性の悲痛な言葉が続く。

 

十数秒ほどの奇妙な音声は、Cさんという男性の携帯電話に残されていた留守番電話メッセージなのだという。Cさんをはじめ、それを聞いた多くの人は単なるイタズラか或いは、何かの間違いだと考えていた。

しかし一ヵ月が過ぎたある日、「亡くなった父親の声に似ている」という人物が現れた。

同年五月に台湾から香港へ向かっていた飛行機の機体が空中で分解し海に墜落、二百名以上の乗客全員が死亡するという事故が起きた。その人物の父親も乗客の一人だったそうだ。

当時台湾では「霊界からのメッセージ」としてちょっとした騒ぎになったようだ。

 

死者の帰宅

台湾や中国では「人は死んでから七日経つと家に帰る」と言われている(この七日間のことは”头七”と呼ばれる)。

前述の留守電メッセージが残されていたのは、飛行機事故から六日後のことだった。死者は家に帰るまでの七日間、自身が命を落とした場所にいるのだろうか。声の主は帰宅できたのだろうか。

 

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