幽霊の証明

「絶対噓でしょ」

現在大学生のCさんがまだ小学生だった頃。
一緒に帰っていた友達が「うちには死んだおじいちゃんがいる」と言い出した。当時からオカルトの類を信じていなかったCさんは、反射的に友達の言葉を否定した。

「幽霊なんかいるわけないじゃない」
「本当にいるんだよ。いつもおばあちゃんと話してるもん」
「じゃあ会わせてよ」
「うん、いいよ」
引き下がるかと思ったが、友達は意外にもあっさりとその提案を受け入れてしまった。疑惑は晴れないながらも、Cさんは友達の家について行くことにした。

「ただいま」

いつもおばあちゃんが留守番をしていると聞いていたのに返事がない。それでも友達は気にする様子もなく廊下を進んでいく。

廊下のつきあたりの部屋に、おばあちゃんはいた。机の前に正座をして何やら一人でぶつぶつと呟いている。
まだ昼間なのに薄暗い部屋。妙な光景にCさんは戸惑っていた。
それを察してか、友達は場違いに明るい声で
「ほら、おじいちゃん」
と机を指さした。

机の上には青い茶碗が置いてあった。
よく見ると八分目くらいまで水が入っている。その真ん中に箸が一本、垂直に立っていた。
もちろん箸を支えるものは何もない。茶碗の中にひとりでに立っているのだ。
友達はそれを指して、おじいちゃんだと言う。

――これって手品みたいなものじゃないの? 実は茶碗の底に仕掛けがあったりして。

口を開きかけたCさんの耳におばあちゃんの声が届いた。

「今日はほら、お友達が来てるみたい。だからもう帰って」

その瞬間、箸が倒れ、カチャンと音を立てて机に転がった。
改めて茶碗を見てみるとそれはごく普通の茶碗だった。仕掛けのようなものはない。水が入っているだけのただの茶碗である。

「おじいちゃんとおばあちゃんはずっと仲良しの夫婦だったんだよ。だから今でも一緒にいるんだよ」

嬉しそうな友達の言葉に納得して、Cさんは家に帰った。
否定的だったオカルトに興味を持つようになり、テレビの心霊番組なども楽しく見るようになった。

ところがCさんが高校生になった頃、母親から友達のおばあちゃんについて意外な話を聞かされた。

友達は仲良し夫婦だと言っていたが、実は結婚当初から続くおじいちゃんの浮気と酒癖の悪さに悩んでいたのだという。おじいちゃんが病に倒れた時にも「早く死ねばいい」と近所の奥さん連中に愚痴をこぼしていたそうだ。

「幽霊や心霊なんて所詮、誰かにとって都合のいい嘘ですよ」

以来、Cさんはオカルトの類を毛嫌いしている。

 

茶碗と箸

中国では水を張った茶碗と箸を用いた幽霊確認方法があるという。箸を茶碗の中に垂直に立て、ゆっくりと手を離す。幽霊がそこにいる場合、箸はひとりでに立つのだそうだ。
上の話をしてくれたCさん曰く、箸は「上から紐で引っ張っているように」立つのだという。

 

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