ベトナム式除霊

以前働いていた日本の職場にはベトナム人社員がいた。彼らは古いアパートを寮として与えられており、狭い部屋に四、五人ずつで暮らしていた。特に大きなトラブルもなく生活していたのだが、ある日近隣住人に警察を呼ばれてしまうという事があった。
日本人社員が駆け付けた時には事態はすでに収束していたのだが、後日話を聞く事ができた。

騒動の詳細はこうだ。
霊に取り憑かれたらしいベトナム人女性が寮で暴れだした。大声で何かを叫び、部屋中をのたうち回る。同室のベトナム人達はあまりにも異様な同僚の姿に恐怖し、泣きながら近隣に助けを求めた。そこで警察に通報。到着した警官二人がかりでやっと彼女を押さえた、という事だった。

その後、寮では興味深いお祓いが行われることとなった。

一般的に、このような状況で使用するものと言えば日本では塩や日本酒が考えられるが、ベトナムではにんにくを用いるのだそうだ。

騒動があった部屋でもにんにくによる除霊が行われることとなった。除霊とは言っても、部屋の至る所ににんにくを置くだけである。日本人社員は全員、にんにく除霊に懐疑的であったが彼らの信仰心を否定することも出来ないので見守ることにした。

結果、寮では不可解な出来事が頻発し、騒動から数年経った今でも毎月のように妙な報告があるそうだ。
やはり日本の霊に対してベトナムの除霊方法は効かなかったようだ。

以下に「妙な報告」を併記する。ご興味のある方は是非そちらにも目を通して頂きたい。

当時、外国人寮管理を担当していた社員が書いた日報。

「2017年6月14日

106号室のTさん・Lさん・Nさんから、本日未明にベランダに不審者がいたとの報告を受けた。外から窓を開けようとする音に気づいたTさん達がベランダの方を見ると、手のひらを窓ガラスにつけて部屋の中を覗き込んでいる人影を発見。その際、手のひらが6つあったということなので、ベランダにいたのは3人だと思われる。Lさんが107号室のGさんに電話をし、ベランダに不審者がいることを伝えた。電話中に不審者は柵を乗り越えて走り去ったとのこと。
本日朝礼後、警察による現場検証が行われた。結果は以下の通り。
・ベランダに不審者のものと思われる足跡は無し。
・窓ガラスから採取された指紋は一人分。」

ちなみに、隣室107号室のGさんはLさんから電話を受けてすぐにベランダに出た。「今いる! 部屋の中を見てる!」というLさんの声を聞きながら、間仕切りの隙間から106号室のベランダを覗いたが誰もいなかったそうだ。

これ以外にも「一人で寝ていると首を絞められた」、「夜中に玄関扉をノックする音が何度も聞こえるが、外には誰もいない」などといった苦情が断続的に寄せられている。
その全てがベトナム人からのものだ。寮には他に中国人やインドネシア人、カンボジア人なども住むが、こういった不思議な体験をするのはなぜか決まってベトナム人だけである。

 

 

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